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幼女でもできる自作CPUチップ (10) 評価基板の設計・製造

 前回の記事

ourfool.hatenablog.com

では、自作ALUの搭載されたLSIチップの製造について書いた。

 ついにこれで自作LSIが完成したわけではあるが、パッケージングされていないチップ単体(ベアチップ)やQFP品だけ手元にあったところでどうしようもないので、これらを実装するための基板が欲しくなってくる。
 そんなわけで、今回はチップを搭載する基板の設計と製造について書いていく。要するにパッケージの足にそれぞれ電源や信号を与えられれば方法はどうでも良いのだが、今回は張り切ってプリント基板のデータをつくり、業者に製造していただくこととする。

 さて、チップを評価するためのプリント基板を作るにあたって、まず考慮しなければならないのは、何を使って電源や入力信号をチップに与えるのか、出力信号をどのように受け取り測定するのか、ということである。モノホンの人は電源やオシロはもちろんファンクションジェネレータやロジアナあたりは持っているだろうから、それぞれにつながるコネクタを基板に実装してやり、測定をおこなえばよいだろう。しかし、ここで「幼女でもできる」というコンセプトをもう一度思い返したい。すると、チップを測定する方法は一つしかないように思える。

Arduinoをはじめようキット

Arduinoをはじめようキット

 

たったひとつの冴えたやり方、それは一般幼女の味方、Arduinoである。そこで今回は、QFPを実装してArduinoの各ピンと簡単に接続できる、ユニバーサルなArduinoシールドを作る。

 基板のレイアウトには、最近流行り(?)のkicadを用いた。UIが日本語化されているところや、日本の自作コミュニティで広く使われており、情報検索が容易なところが幼女向けであると思う。また、kicadには幸いArduino UNOの基板テンプレートが存在するため、そちらを利用させていただいた。なお、kicadの使用方法についてはこちらKiCadで雑に基板を作る チュートリアル、テンプレートの利用方法についてはこちらKiCadでArduinoシールドを作る ~テンプレート機能の紹介~ - masahirosuzuka's blogを参考にさせていただいた。この場で感謝させていただきたい。

 さて、これらを参考に無事基板データを作成し終えた。kicadのプロジェクトは回路図とそれに対応する基板上のレイアウトから成るが、それぞれは以下のようになった。

f:id:ourfool:20160920230748j:plain回路図

 

f:id:ourfool:20160920230813j:plain

レイアウト図

 kicadには3D表示機能があるのでここで部品の3Dデータをしっかり作っていれば部品同士の干渉などを確認できる。しっかり作ってなくてもかっこ良さげな絵は見れる。

f:id:ourfool:20160920230839j:plain

 Arduinoの各ピンに対して1つ余計にスルーホールを用意したほか、部品取り付け用に基板の右側にピンソケット用のパターンを作った。中心にあるのはQFP用のフットプリントで、それが周囲の2.54mmピッチのスルーホールにそれぞれつながっている。QFPから離れてしまいやや心許ないが、一応パスコン用のスルーホールも角に4つ用意した。QFP側の電源・GNDの配置が決まっていないだけに良い方法が浮かばず悩ましかったのだが、今回はまあこれで良しとした。

 さて、データが完成したところで、Elecrowさんで発注を行った。発注の際には、CADでガーバーデータ(プリント基板の層別形状データ)を吐きだし、それぞれ指定の名前に変えて投げる。

Top layer (第1層、部品面): pcbname.GTL
Bottom layer (第2層、半田面): pcbname.GBL
Solder Stop Mask top (部品面レジスト): pcbname.GTS
Solder Stop Mask Bottom (半田面レジスト): pcbname.GBS
Silk Top (部品面シルク): pcbname.GTO
Silk Bottom (半田面シルク): pcbname.GBO
NC Drill (ドリル): pcbname.TXT
Mechanical layer (基板外形): pcbname.GML

 今回、Elecrowさんの配達オプションにOCS/ANA Expressなるものが追加されていたので選択してみた。一番安価なEMSに比べて数ドルしか値段が変わらないにも関わらず、爆速で届いたので、是非おススメしたい。参考までに、前回のEMSによる配達では発注から現物の配達まで2週間かかったところ、今回は発注から5日で基板が届いた。しかも10枚頼んだら案の定12枚来た。やり過ぎだし中国カルチャーを感じざるを得ない。

 基板を見てみるとわかるように、若干シルクのズレは見られるものの、致命的なミスは見当たらない。普段数10万円で基板製造している人間からするとめっちゃ驚愕である(僕はそんなことしてないがそう思うはずであろう)。


しかもクッソ適当な感謝に何故か日本語でリプが返ってくるなどする。今後も使います。

 そんなわけで、チップに続いて評価基板(Arduinoシールド)の設計・製造を終えた。ついに残すは基板への実装とチップ動作の確認のみとなった。ここまで引っ張っておいて全く動かないということも結構あるのだが、今回のチップは果たしてどうだったのか・・・?次回にご期待いただきたい*1

*1:ふつうに動いた。