幼女でもできる自作エフェクター (1)基板設計、発注

 ギター用のエフェクターというと、数千円から物によっては数万円を要求する、少々贅沢な品である。一方でバンドマンというのは本質的に貧乏人であるし、ましてやそれが幼女*1であればなおさら手が届かないというものだ。

 このギャップを解消するには自分でエフェクターを作るしかない。実のところエフェクター(特に歪み系)というのはごく単純で教科書的な増幅回路から成っているので、わずかな部品をハンダ付けすれば一応のものが出来てしまったりするのだ。

 というわけで、何回かにわけて自分なりにエフェクター自作の流れを書いて行こうと思う。オーディオ電子工作の入り口としても最適な感があるし、やってみるといろいろ捗るのではないか。

 

 ・何をつくるか?

 世の中良いエフェクターはごまんとあるわけだが、「幼女でもできる」というコンセプトからいくと、「有名で高価なエフェクターのうち、出来る限り簡単なもの」をつくることになるだろう。*2

というわけで、今回はLovepedalのCOT50を製作することにした。

なんでもplexiの音*3が出るとの評判で、しかもふつうに買えば3万かかるわけだから、これはもう自作しないのは罪であろう。

 製品のコピーを作るとなると著作権云々の問題が絡んできそうに思われるが、都合の良いことに回路の構成はそういった保護を受けない。それらしい回路をネットで拾ってきてコピーすることは違法ではない、ということになりそうだ。その辺りも鑑みて、ここでは「回路構成は偶然にも似ているが名称等をパクらない」エフェクターを作る。

 

 ・基板設計

 まず最初に、エフェクターの基板を設計する。

 が、おそらくほとんどの人にとってこのプロセスは必要がない。というのも歪みエフェクターの回路規模は大抵の場合ごく小さなものであり、ユニバーサル基板へ適当に部品を配置し、部品の足等で適当に配線しても、問題無く製作できるからだ。

 しかし僕について言えばハンダ付けするたび接触不良が起こっているし、世の中にはそういう人間が他にも多数居るはずだ、と希望的というか悲観的というかまあそんな感じの観測をしているので、ここではプリント基板の設計について書く。回路規模がもっと大きいエフェクターでは、ほとんどの人にとっても必要になるかと思う。

 基板設計にはCADソフトを使うことになる。フリーのソフトも結構落ちていて、PCBEとかEAGLEとかKiCad、DesignSpark PCBなんかが有名(?)だと思う。ちなみに今回は一身上の都合で、というか時間かけるのが面倒だったので研究とかバイトで使っているQuadceptを使った。日本語解説が充実しているところ、UIが一般向けっぽくて親切なところが幼女向けであると思う。

 このタイプのCADソフトでは、最初に回路図を書く。エフェクターの回路図については、有名なものであればググると出る。

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 次にこれを基板のレイアウトへ落とし込むことになるが、このあたりはCADソフトが利口にこなしてくれる。部品の基板上でのパターンを作っておけば、それぞれが回路図のとおり接続された状態で出力される。

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 あとは綺麗にレイアウトすれば終了である。本来は電磁界的に綺麗でなければいけないのだが、今回は見た目的に綺麗にレイアウトした。個人的には、歪みエフェクターは至極適当に配線しても良いのではないかと思う。数10kHz程度であれば、基板上の信号品質を考える必要はないし、そこを気にするのは「歪み」エフェクターの定義から考えても大いなる矛盾であろう。ノイズの問題に関しても気にしたところであまり変わらないように思う。ちなみにオーディオの電子工作だと一点接地が好まれるようだが、自分はベタグラウンドを敷くのが快感だし楽なのでそうしている。

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 ・発注

 基板の設計を終え、次に基板の発注を行った。

 DIY精神からするとここは生基板をエッチングするところなのだろうが、配線すらろくに出来ない人間が上手くエッチングできるわけもないので、当然外注に走る。エッチングに1か月を費やす幼女でも、ガーバー吐き出しとサイトでの注文なら5分でできる。

 今回はELECROWさんで発注を行った。

 このあたりの激安基板製造サービスは物凄いものがあって、国内で頼んだら数万円と1か月を費やすものが、高々2000円と2週間で届き、しかも頼んだ枚数+おまけで数枚基板が入っていたりする。*4

発注の際には、CADでガーバーデータ(プリント基板の層別形状データ)を吐きだし、それぞれ指定の名前に変えて投げる。

Top layer (第1層、部品面): pcbname.GTL
Bottom layer (第2層、半田面): pcbname.GBL
Solder Stop Mask top (部品面レジスト): pcbname.GTS
Solder Stop Mask Bottom (半田面レジスト): pcbname.GBS
Silk Top (部品面シルク): pcbname.GTO
Silk Bottom (半田面シルク): pcbname.GBO
NC Drill (ドリル): pcbname.TXT
Mechanical layer (基板外形): pcbname.GML

発注から4日後には製造した基板の写真が届き、2週間後には実物が配達された。ちなみに10枚頼んだら断りなしに14枚来た。

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 割とどうでもいいことなのかもしれないが、ELECROWさんだと基板の色が自由に選べる。白レジストに黒シルクはSFっぽくて*5最高にかっこいいと思う。

 

 そんなわけで、基板設計、発注までを行った。

 次回は、部品の調達とケースの製作について書く予定である。ほぼリアルタイムで書いているので、突如として頓挫する可能性もあるが、初心者向けのエフェクターなのできっと順調に推移してくれるだろうと信じている。*6

 

 

*1:僕は9才の幼女です。

*2:推論のプロセスが形式的に適切か否かということは、「幼女でもできる」というコンセプトの前では全く無価値な問題である。

*3:どうでもいいが『オールドマーシャルの音を本当に知ってる人』のナニモン感はすごい。

*4:個人的には嬉しい一方で、深セン工場勤務の方々の人件費を勝手に想像して悲しんだりもする。

*5:ハヤカワ文庫JAの見た目っぽいからかもしれない。

*6:ちなみに、未だかつて最初から最後まで順調に製作できた例はない。